~第1章~ むし歯のメカニズム
むし歯になるまでには時間がかかります。ある研究では、むし歯の“初期の兆候”が見られるまでに3週間かかるという結果も!
では、初期の兆候とはどんなものなのでしょうか。
むし歯と聞くと、きっと多くの人が“歯に穴があいた状態”とイメージすると思います。でも、むし歯には穴があく前にいくつかの過程があるのです。虫歯の進行をイラストにすると、こんな感じです。
最初に歯の表面がちょっと白い状態になります。まだ穴はあいていません。これが初期の兆候で、この状態になるまでに3週間という長い時間がかかります。そして、この状態であれば適切なケアをすることで健康な歯に戻せるのです。
~むし歯なのに元に戻るの?~
歯に穴があいてしまったらアウトだけど、歯の表面がちょっと白くなった状態であれば元に戻せる!C1からC2になるには8年かかるという研究もあるほど、元に戻る機会と時間はたくさんあるわけです。
1日や2日で歯に穴があいてしまうのなら、ちょっとの油断も許されないし、予防する術もないかもしれません。でも、こんなに時間があるなら穴があくことは阻止できます!そう、むし歯の痛みや治療中のストレスなんて、もう経験しなくてOK。手に汗握るあの時間にサヨナラです。
「なんだよ~。予防できるんだったら、もっと早く知りたかったよ~」
そんなあなたは、むし歯がどうやってできるかも理解しておきましょう。それを知らなったら、何をすればいいかもわからないですから。
~穴はこうやってできる~
”歯に穴があくまで”をわかりやすく簡単にご説明します。
あなたが食事をするたびに、むし歯菌は糖分をエサにして酸をつくります。その酸によって歯が溶け、時間の経過とともに穴があくのです。とはいえ、食事をしたからといって必ず穴があくわけではありません。それはなぜか?溶けだした成分を歯に戻す力がるからです。人間ってスゴイ!
あなたは”脱灰”と再石灰化”という言葉を聞いたことはありますか?
●食事をすると口の中が酸性になって歯が溶ける(脱灰)
●でも、だ液(ツバ)の力で溶け出した成分が歯に戻る(再石灰化)
食事のたびに、歯の表面は脱灰と再石灰化を繰り返しています。大事なのは、このバランスです。
~歯に穴があく、5つの要素~
これらがそろうと、歯に穴があく(むし歯)可能性が高くなります。逆に、いずれかの要素がなかったり重なっている時間が短かったりすれば、むし歯になる可能性は低くなるのです。このように、むし歯の原因は1人ひとり違います。だからこそ、まずは自分の原因を見つけることが大切です。
さて、むし歯の成り立ちがわかったところで、次は歯周病を見ていきましょう。
~第2章~ 歯周病のメカニズム
歯はいろいろな組織に支えられて立っています。歯周病というのは文字どり、“歯の周りの病気”のこと。
歯周病と聞いて、あなたはどんな状態をイメージしますか?
歯がグラグラして、血が出て、膿も出て、もうドロドロな感じ…。テレビCMなどの影響で、そのようなイメージを持っている方も多いのではないでしょうか?
確かに重症化した場合には、そうした症状が現れます。そして、そこまで進んでしまうと元の健康な歯ぐきには戻せません。最新の技術を駆使すれば治すこともできますが、時間とお金がとんでもなくかかります。
でも、むし歯と同じで、歯周病も歯ぐきがドロドロになるまでに“ずっと前の段階”があります。歯周病の進行をわかりやすく示すと、こんな感じです。
実際にはもう少し細かいステップに分けられるのですが、ちょっと歯ぐきが腫れるところから歯がグラグラの段階まであります。
<参考資料:「むし歯と歯周病の病因論」著者・関山牧枝(歯科衛生士)>
発行所:株式会社オーラルケア より