~元気にキレイに~ オーラルフレイル
加齢とともに滑舌が悪くなった、かめない食品が増えてきた…。そんな口の衰えを見逃さず対処することで、健康な長生きにつながるという考えたが近年、広まりつつある。
2014年に、「オーラルフレイル」という言葉が日本で提唱された。「オーラル」は「口腔」、「フレイル」は高齢者が健康と要介護の間の虚弱な状態になることを意味する。オ-ラルフレイルは軽微な口のトラブルが起きている状態を指す。
口の中の状態が良くないこと、柔らかい食べ物ばかり選ぶようにある。すると低栄養や食べる力の衰えにつながり、負の連鎖を招く恐れがある。
東京大学教授で同大学高齢社会総合研究機構の飯島勝矢・機構長らが、高齢者2千人を対象に行った研究では、オーラルフレイルに陥っている人では、そうでない人に比べて要介護リスクや死亡リスクが2倍以上高かった。
~滑舌の悪さ・かむ力が弱い 要注意~
飯島さんは「軽微なトラブルのうちに対処すれば健康な状態に戻すことができる」と語る。
▽滑舌が悪い
▽歯が少ない
▽口が乾く・口臭がある
▽むせる・食べこぼす
といった症状があれば、オーラルフレイルの恐れがある。例えば、5秒間で「タ」を30回言えない、自分の歯が20本ない、お茶や汁物でむせるといった人は注意が必要だ。
予防にはどうすれば良いのか。まずは、かかりつけの歯科を決め、定期的なメンテナンスを続けることが大切だという。口の中の衰えが進むと「口腔機能低下症」と診断され、治療が必要になることもある。
日常生活で工夫することも重要だ。例えば、日頃からよくかむ習慣を意識すると良い。飯島さんらの研究では、ガムをかむ習慣のある高齢者では、口腔機能だけでなく握力や身体機能も高く維持されていた。
普段の食事レシピでも工夫ができる。例えば、おかずに砕いたアーモンドを加えたり、白米を五穀米に代えたりすると、かみ応えをプラスできる。飯島さんも慣習に加わった「カムカムレシピ」https://kamkam-okg.jp/recipe/handbook.htmlが参考になる。
飯島さんは「オーラルフレイルが顕著になってくるのは主に65歳以上だが、その手前の世代でも日頃から口の健康リテラシーを持ってもらえれば、しょうらいの予防につながる」と語る。
<参考資料:著者名=松本千聖 朝日新聞 2024/3/30発刊>