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食生活とこどもの成長

~食べ物の硬さや栄養バランスに気をつけましょう~

●お口の機能の低下で歯並びの異常が起こる

最近、こどものむし歯は減少傾向にあるようです。その反面、私たちの大学病院に来院される患者さんの多くは、歯並びの改善などを希望されるようになってきました。このようなこどもたちの口元やお口の中を観察しますと、お口を閉める筋肉が緩み、舌の位置も上あごに正しく当たっておらず、下がった状態になっていることが気になります。

また、食事もカレーライスやラーメンなど軟らかいものばかり食べおり、お口の機能の低下が気になります。このように、最近のこどもたちは、お口の機能異常が多く、治療ではお口の中の機能訓練などの対応が必要な症例が増えてきました。これは、日本の食文化が急激な欧米化に伴い、軟食化傾向が著しく、このためにかみ方や飲み込み方が下手なこどもたちが多くみられるようになったことが考えられます。特に小学生の時期は乳歯から永久歯に生え変わるので、あごの発達が歯並びに影響します。よく噛んであごを鍛えられるよう、食物繊維の多い野菜や海草、豆類、乾物類などを意識的に増やすとよいといわれています。前歯が生え変わる低学年は、食べ物をこぼしやすく、またかむ能力も低下します。このような時はくちびるをしっかり閉じてかんで飲み込みます。奥歯が生え変わる時期にも同様に配慮が必要です、よくかむことは、食品を飲み込みやすくするばかりではなく、あごや脳の発育を助け、各種免疫機能やタンパク質が入っている唾液と混ぜ合わせるとこによって、細菌や毒素を中和し、健康なからだを維持する働きがあります。十分にかんでいない現代人は、免疫機能も劣ってきていると考えられます。私たちの教室が以前行った調査でも、かみ方が下手なこどもたちは、下痢や風邪をひきやすい傾向にあることがわかりました。

 

●軟食化によってかむ回数の低下と健康被害が起こる

このようによいかみ方にはいろいろな効能があるのですが、前にも述べたように現代人には軟食化傾向があり、齋藤らの研究でも古代人と比べてかむ回数が極端に減っていることがわかっています。これによりますと、卑弥呼の時代の復元食ではかむ回数が3,990回なのに対して、現代食では620回しかなく、食事時間も短くなっています。かむ回数の低下は筋力の低下につながり、あごの形にまで影響を及ぼしてきます。これらは、こどもたちの歯列や肥満を招くばかりでなく、健康面や心理面での問題も誘発しているようです。

●かむ回数を増やして健康になろう

かむ回数を増やすことでこどもは健康になり、肥満も防ぐことができます。よくかむためには、一口で食べる量や食べ物の硬さを考える必要があります。かむ回数を増やすためには昔ながらの煮物などの薄味の日本食が最適です。こどもたちの健康を守るためにも、調理を工夫して一口30回かむ訓練をしましょう。

 

<参考>お口からはじめましょう からだの健康 より

 

 

 

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