Q:この間からむし歯が痛くて痛くて。でも、「歯医者さんに行かなきゃ」と思っていたらいつの間にか痛みが消えました。
どうしてですか?
A:多分、炎症がひどすぎて歯髄が死んでしまったか歯のなかに溜まり歯髄を圧迫していたうみが何かの拍子に排出されたのでしょう。
すぐに歯科医院に行きましょう。このままでは歯を失ってしまいますよ。
たしかにむし歯の痛みは、あるときは激烈で耐え難いですが、その時期を超えると、うそのように消えてしまうことがあります。
「歯が痛くならないとなかなか歯科医院に行かない」という患者さんなら、「炎症が治ったみたいだ」とか、「これでまたしばらく歯医者に行かなくてすむ」とお考えかもしれません。
しかし患者さんのご希望とは裏腹に、歯のなかの炎症はむしろ広がり、破壊が進んでいるはずです。象牙質が崩れ、歯に完全に穴が開くことで、内部に溜まって歯髄を圧迫していた膿が外に出て内圧が下がると痛みがふっとラクになるのです。そしてこれまで警報を鳴らしてくれていた歯髄がついに死んでしまうと、ひとときの平穏が訪れます。
このあと細菌感染は、周りのさらに多くの組織へと広がっていきます。そして噛む刺激が加わったり、からだの抵抗力が落ちた時に、突然火がついたように痛みます。急に痛みが消えたのは、束の間の「嵐の前の静けさ」なのです。
歯髄が細菌感染してひどい炎症が起きると、けっして自然に治癒することはありません。治療を先延ばししていると、歯を失ってしまうかもしれません。
むし歯に気づいたら、小さなうちに歯科医院に行くのはもちろん、定期的にメンテナンスを受けていると、早期発見とむし歯予防に効果があります。歯科医院との、日ごろからのお付き合いをお願いします。
NICO臨時増刊号より