☆人類史上最大の感染症・歯周病の原因
歯周病の原因は、歯の汚れ、歯垢です。その正体は、歯の表面にたまっている歯周病菌。歯周病菌を口腔に持っている日本人の割合は、高校生の段階では5%未満にとどまっていますが、最終的には60%にまで達してしまいます。一体いつ日本人は歯周病菌に感染するのでしょう。
歯周病菌が一度口の中にすみついたら、除去することはできません。一生のお付き合いです。しかし、中には歯周病菌に感染しても歯周病を発症しない人もいます。歯周病菌を持っていても、その病原性と歯ぐきの抵抗力のバランスが取れているときは健康な状態を保てるのです。バランスが崩れ、歯垢の病原性の方が高くなると、歯周病となってしまします。
歯垢や歯石がたまると、歯茎が腫れて、歯周ポケット(歯と歯ぐきの間のすき間)ができます。すると歯周ポケットの内側は、皮がめくれ、毛細血管が露出して、血がたまります。実は、歯を磨いたときに血が出るのは、歯周ポケットの内側にたまっている血が、歯ブラシで押し出されるため。強く磨きすぎたことが原因で出血したと思いがちですが、そうではありません。
出血くらい大したことはないと思うかもしれませんが、それは誤りです。歯周病菌は、赤血球ヘモグロビンにある鉄を摂取して病原性を発揮します。ですから、出血が始まると歯周病菌は、血液から栄養を取り、爆発的に増加してしまうのです。そして、歯ぐきは炎症を起こし、ついには歯周病が始まるということになります。
☆寿命にも大いにかかわりのある歯周病
歯周病が怖いのは、単に口の中の健康を害するだけでなく、寿命との関係が大いにあるところです。歯ぐきの傷から歯周病菌が血管に入ると、全身を駆けめぐります。歯周病になると、アルツハイマー病、脳血管や心血管の病気、糖尿病、リウマチ、がん、肥満などになりやすいことが、最近分かってきました。
ですから、歯を磨いたときに出血があるような場合は、歯科医院に行くようにすることが大切です。歯科医院では、歯科衛生士が歯垢や歯石をしっかり除去してくれます。3ヶ月~6ヶ月に1回、定期的にお口の掃除をしてもらうことによって、歯ぐきの健康を取り戻すことができるのです。
実は、飲酒も歯周病の発症と関係があります。お酒を飲んでも赤くならない、いわゆるお酒の強い人は、飲酒によって歯周病が進行することはありません。ところが、お酒を飲んで赤くなる人は、飲酒によって4.28倍も歯周病になりやすいというデータが出ているのです。ちなみに、日本人の約40%はこのタイプ。また、タバコを吸う人はおよそ5倍、タバコの煙を近くで吸い込んでる人もおよそ3倍、歯周病になりやすいというデータがありますので、注意が必要です。